ブログ「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。気になるニュースや雑感・着想のメモ等(エントリーへのリンク付きTBかエキサイトブログのみTB可です。)
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カテゴリ:経済・財政( 50 )

増税は選挙の後で…

子ども手当支給は「来年6月後半」 平野官房長官

10月11日19時2分配信 産経新聞

 平野博文官房長官は11日、大阪府交野市内で記者団に対し、民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた子ども手当について、「(来年)6月後半にはできるような制度設計にしないといけない」と述べ、来夏の参院選直前に最初の支給を行う意向を示した。支給のための関連法案は「(来年)4月までに処理すれば、マニフェストと整合性はとれる。通常国会になる」と指摘した。臨時国会提出は見送る。

 平野氏は、同市で行われた地元支持者への国政報告で、揮発油(ガソリン)税などの暫定税率廃止について「必ず(来年)4月から実行すべく関連法案を含めて精査している」と語り、来年度から廃止する方針を示した。臨時国会の会期については「12月いっぱいは予算編成の時間軸をちょうだいしたい」と述べ、与党に11月末の閉会を提案していることを明らかにした。

最終更新:10月11日19時33分

産経新聞


選挙前は減税と給付だけ与えておき、増税は選挙の後ってことのようだな。

扶養控除の廃止と子ども手当ての給付がセットになるのは悪いことではない。ただ、給付の増分の方が増税の幅より大きいのであれば残りの財源が問題となる。

暫定税率を廃止するということは道路関連の公共事業を激減させるということでなければ釣り合いが取れないことになるように思う。そうなれば、土木や建設業界の「末端」から失業者がかなり出ることになる。こうした人たちの大部分は、ITとか金融関連はおろか事務系の仕事ができる人たちではないし、介護職などができるわけでもない。それらの人々はどうやって食いつないでいくのか?

民主党の政策からはそうした「痛み」をどのように緩和するかが全く見えてこない。この点に関しては自民党に劣るようにさえ思えてならない。

むしろ、こうした「局所的に痛みをもたらすもの」である「歳出削減による財源捻出」ではなく、遍く、それも基本的には利益のあるところから財源を調達する方向での増税による財源確保こそ、望ましい政策である。

もっとも、「歳出削減による財源捻出」を掲げ続ける限り、論理的には(採取つげゼロになるまで)終わりはなく、適切な増税を行うことはできないだろう。増税するという話になった場合には必ず「まだ切れるところ(無駄!)がある」という話が持ち出されることは目に見えているから。

(それは自分が不利益を被らない人にとっては、彼の利益を中心として考える限り、別の分野の歳出は「無駄」以外の何物でもないだろうよ。だから、常にこの「無駄をなくせ」という声はなくなることはないのだ。しかし、全体をトータルで考えて調整するのが政治・政府の仕事である。つまり、ある人にとって無駄であっても、別の人には無駄ではないならば、それを比較考量するのが政治・政府の仕事だろう。政治・政府が「とにかく無駄をなくして財源を捻出する」と言い張る限り、その機能を期待することは著しく困難である。)

「歳出削減による財源捻出」ではなく、最初から増税(累進的な増税を軸とする増税)で賄うと言い切るくらいの勇気と説得力(←これはポイントである!)を持つ政党が出現する日はいつになるのか?
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by zarathustra1883 | 2009-10-12 03:03 | 経済・財政

財源についてのメモ

生活保護の母子加算、11月復活も困難 財源確保遅れる
2009年10月6日

 民主党が早期実現を目指していた生活保護の母子加算復活は、財源確保の遅れで11月の実現も困難な情勢となってきた。厚生労働相は6日、財源をめぐり財務相と協議後、記者団に「11月支給がまだ明確にみえていない」述べた。(共同通信)

マニフェスト作成時点で財源を明確にしていなかったことがこういう形で現れるわけだ。

そもそも、一般世帯の収入が減っている中でなぜ生活保護世帯の、それも「ひとり親世帯」ばかりを優遇する必要があるのかが私には理解できない。子どもがいる世帯であれば、子どもの養育に費用がかかることはわかるし、今流行の「子育て支援」という名目は立つだろう。しかし、今後、「子ども手当て」が創設される予定になっているのに、どうして生活保護世帯だけさらに加算するのか?また、母子加算がなくなった後、生活保護制度では「ひとり親世帯就労促進費」や「学習支援費」といった費目を設けて相応の手当てをしてきており、今回の母子加算復活はこれらとの整合性や関係の整理の方向性などもまだ全く聞こえてこないし、普通のメディアではこうしたものがあることすら報道を目にしていない。(父親の収入が減っていく中で、こんなにひとり親世帯を優遇したら「偽装離婚」で妻と子どもだけ生活保護を受けさせる世帯が増える危険性は高い。

10月や11月から復活させるつもりだったらしいが、厚生労働省が決定した後、都道府県に通知し、さらにそれが市町村に通知されて、それに基づいて現場(都道府県と市町村)がシステム改修などを行って初めて実現できるということを考えると、たったの2-3ヶ月でできる話であるとは私には思われない。最低でも来年度からなどとすべきであり、各項目との整合性や整理の仕方などももっと詳細に議論するべきではないのか?

公共事業を大幅に削減して福祉に充てるのは一見悪くないし、私も総論賛成である。しかし、公共事業で生活が初めて成り立つという人々もおり、私が知る限り、その末端の人々は生活保護と同等かそれ以下のレベルの生活をしており、公共事業を停止することで彼らの仕事が減ることで生活保護受給世帯が増え、生活保護の基準額の増額と生活保護受給者の両方の増加によりさらに歳出が必要になるという悪循環になる。

現政権のこうした政策よりは、公共事業等による景気対策は短期から中期的なものとして手当てしつつ、産業の構造転換(公共事業の内容をより効果的な分野に振り変えつつも、土建業の末端の人々ができる仕事を創出する)を行ないながら低スキル・低学歴等の人々の生活維持可能性を維持し、さらに、累進的な方向での増税により歳入を増やし、それによって福祉を中長期的な視点で拡充するという方向性が正しいように思われる。

(現在の1ドル89円前後という円高もかなり厳しい情勢であり、対応が必要であると考えるが、あまり明確なものが聞こえてこない。現政権には経済政策が欠けている。「福祉の拡充により消費を拡大することが景気対策」というような考え方は、ネオリベを批判する際に対極にある考え方を提示するという点で意味があり、私も自分で述べたこともあるし、基本的には支持してきた考え方であるが、それ以外の経済政策を欠いた状態でこればかりを経済政策であると豪語するようでは論外である。)

ちなみに、「無駄遣い」をなくすることで財源を確保する、というフレーズがやたらとテレビや新聞をにぎわせているが、ある歳出が「無駄」であるかどうかを決める基準が明確でない限り、何とでも言えてしまうのであり、内容を踏まえずに一律に負の価値を負荷したレッテルを貼ることになる。この意味で、この言葉は政策を語る上では「不適切な言葉」であり、不用意に使うべきものではない。
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by zarathustra1883 | 2009-10-07 18:46 | 経済・財政

日本で経済の見通しが悲観的になる理由

金融危機、日本人が最も悲観的=政治不信が色濃く-17カ国調査

1月29日15時1分配信 時事通信

 「金融危機の影響は相対的に小さいはずなのに、日本人が先行きに最も悲観的」-。日本リサーチセンター(東京)など17カ国の民間機関が各国で一斉に行った調査で、こんな結果が明らかになった。政府の対応への不満が色濃く出ており、同社は「国民性に加え、政治不信が背景にあるようだ」と分析している。
 調査は昨年11~12月(日本は11月20~26日)、日米欧やロシア、中国、インドなど計17カ国で実施。電話やインターネットを使って質問し、約1万4600人(同1040人)から有効回答を得た。
 それによると、「今後3カ月で経済が良くなる」と回答したのは、日本ではわずか2%で、金融危機で深刻な打撃を受けた英国と並び最低。インドが39%と最も楽観的で、危機の震源である米国も上から5番目の14%と相対的に高かった。逆に「悪くなる」と答えた日本人は英国(78%)に次ぐ70%に達した。
 また、「今後1年で世帯収入が増える」と考えている日本人も11%と、下から3番目。通貨ウォンが急落した韓国(6%)、国際通貨基金(IMF)の支援を受けるアイスランド(9%)を辛うじて上回った。
 一方、金融危機後の政府の対応について10段階評価を求めたところ、日本は平均3.0点と最下位。追加経済対策を盛り込んだ2008年度第2次補正予算案の提出先送りへの不満などが背景にあるとみられる。中国が7.0点と最も高かった。 

最終更新:1月29日15時58分
時事通信


なかなか興味深い。

中国やインドなどのいわゆる新興国で比較的楽観的なのは、プラス成長が鈍っただけだからという側面が大きいだろう。日本が悲観的なのは政治不信というよりも、状況を改善するために必要な手段が明確でないからであろう。

また、日本の人々の多くは、財政と金融を連動させることが必要だとしても、財政を使えないと思っているから手が打てないと考えているように思われる。

定額給付金についての議論でも、「定額給付金で金を『ばら撒いて』も、その後消費税増税するから意味がない」などという、それこそ無意味な言説が素人の間では出たりする。これは経済についての説明としては誤っているのだが、日本の多くの人が恐れていることが端的に示されている。要するに彼らは、「増税が恐いから財政は使えない、使いたくない」というように恐怖心に駆られているということができる。

このような恐怖心ないし不安感が蔓延している中で、具体的な解決策・対応策についての議論もなされていないから人々は悲観的になるのである。



なお、私は現行制度のままの消費税の税率を単純に引き上げるだけの消費税増税については、当面は反対の立場だが増税自体は――現在の日本の税財政の状況に鑑みれば――「良いこと」だと考えている。

なぜならば、異様に乏しい財政規模(異様なほど「小さな政府」であること)が政策的な対応を困難・不可能にしているのが現状であるが、増税することによって、金融危機への対応や経済政策や福祉に対して、私的にではなく、公的に(デモクラシーの手続きに基づいて)対応するための手段(選択肢)が増えるからである。

(なお、これらの手段を全く講じない場合でさえ、財政赤字の拡大というリスク要因を減らすことができるというメリットがある。もちろん、増税する場合には、累進性を高める増税であることが望ましいことは、これまで何度も書いてきたとおりである。)

この感覚が人々の間で共有されるようになるまでは、金融がまた過熱して世界中が再びバブルにならない限り、日本国内で楽観的な見解が広まることはないだろう。

私の場合は、民意が誤っているために悲観的にならざるを得ない部分がある。
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by zarathustra1883 | 2009-01-29 19:38 | 経済・財政

日本の財政構造について、橋本痴事も少しは理解してきたようだ。

「国、暴力団以上にえげつない」橋下知事 事業負担金で

2008年11月28日23時27分

 大阪府の橋下徹知事は28日、府北部地域の7市長との懇談会で、国の公共事業に都道府県が負担金を支出していることについて「国があって、上納させられて、それこそ暴力団組織以上のえげつなさだ。これを変えないと何もやろうと思うことができない」と批判した。

 08年度の府の建設事業費約2千億円のうち、国事業への負担金は約400億円。橋下知事は「国の事業は国の責任と金でやってほしい」と持論を展開。「(国に)上納させられて、がんじがらめにしばられている。国に払う分が先に固められているのが納得いかない」とまくし立てた。


橋本痴事さんよ。今頃気づいたのかい?知事なんてやらなくてもそのくらいのことは少し勉強すりゃ分かることなんだがね。中央政府の公共事業に地方政府の財政が動員されているわけなんだが、だから、かつて3000もあり、現在も1800くらいある自治体は「どこも揃って」財政が厳しいんだよ。財政の硬直性は中央政府の政策と行政の法的構造の賜物なの。

で、財政支出によるサービス給付の主体は、日本の場合、中央政府でなく地方政府だから、財政出動しようと思っても実行部隊がいなくなっているのが日本の行政の実情さ。気づかないよりマシだが、気づくのが遅すぎ。

ただ、中央政府の公共事業でも自治体負担分があることについては、それなりの合理性もある。その地方に事業が行われることによって、その地方にメリットが生じることがあるからである。この部分のバランスは一概に言うことができないので、橋本の単純すぎる意見(中央政府が行う事業は中央政府だけが負担せよという意見)にそのまま同調するわけにも行かないのである。

最近、橋本は中央政府に財政負担を押し戻そうとしている傾向がある。これは反新自由主義の風潮がある程度強くなってきたことに対する彼なりの対応という面があるような気がする。もちろん、法人課税の大幅減収が見込まれる大阪府が少しでも財政負担を減らすための方策というのが直接の理由なんだろうが。
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by zarathustra1883 | 2008-12-01 02:48 | 経済・財政

現在の金融危機は100年に一度のものではない。

首相、3年後消費税率上げを明言 解散は当面見送り

2008年10月30日21時29分

 麻生首相は30日、新総合経済対策を発表した記者会見の中で、行政改革や景気回復を前提に3年後の消費税率引き上げを明言した。衆院解散については「政局よりは政策、何より景気回復という世論の声が圧倒的だ」と述べ、当面は見送る考えを示した。

 「日本経済は全治3年」と主張する首相は「経済状況が好転した後に、財政規律や安心な社会保障のため、消費税を含む税制抜本改革を速やかに開始する」と表明。「大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と述べた。将来の財源を明確にすることで政権政党として民主党との違いをアピールするとともに、2兆円規模の定額給付金など新総合経済対策に対するバラマキ批判を封じる狙いがあるとみられる。

 引き上げ幅には言及しなかったものの、与謝野経済財政相は30日の記者会見で「一挙に5から10%のレベルにはなかなかいけない。10%になったら生活必需品は低い税率で据え置くべきだというのも有力な説だ」として、10%程度を目指し、複数の税率を設定する可能性に言及した。

 首相は一方、当面は景気対策を最優先して取り組む姿勢を強調。現在の経済状況について「100年に1度の、金融災害とでも言うべき米国発の暴風雨」との認識を示した。来月15日にワシントンで開かれる金融危機対応のための緊急首脳会議(サミット)では(1)金融機関の監督・規制への国際協調(2)格付け会社に対する規制(3)会計基準のあり方――の3項目を議題として提起することを明らかにした。

 新総合経済対策を実現するための第2次補正予算案の提出時期については「いまの段階で決めているわけではない」と明言を避けた。ただ、2次補正の成立が「優先順位は一番」として、当面の解散は見送る姿勢だ。

 「ねじれ国会」のもとで今後も国会審議の見通しが不透明ななか、首相は「(衆院解散は)しかるべき時期に私自身が判断する」と強調した。今後は、(1)年末か来年1月の通常国会冒頭(2)09年度予算成立後の4~5月(3)来年9月の任期満了前――の中で解散の時期を探るとみられる。


以上、asahi.comより。

◆消費税を3年後に上げるというのは、ある意味、うまい戦略だ。自民党が選挙で負けた後で、この時限爆弾が炸裂するだろうから。

もちろん、私が望むのは消費税ではなく所得税と法人税を基幹税としてもう少しまともに機能できるように制度改正することである。

◆上の認識とも関連するが、100年に一度の金融災害とされている現在の金融危機だが、これは恐らく誤った認識だ。金融グローバル化をその本質とする「グローバル化」を放置しておく限り、この程度の金融災害は10年か10数年ごとに起きる可能性が高いというのが私の見方である。

100年近く起こらなかったのは、20世紀後半にはブレトン・ウッズ体制という歯止めがあったからに他ならない。ブレトン・ウッズと同じ体制を再構築することは不可能だし、望ましいとも言えない(永続性がないから)が、「ブレトン・ウッズ的な国際的な体制」が改めて構築されなければならないように思われる。
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by zarathustra1883 | 2008-10-30 22:07 | 経済・財政

最近の環境問題の議論について――21世紀のグレートゲーム?

サミットの前あたりからやたらと環境問題とかエコとかがメディアで報道されていた。

なんか、環境問題とか「地球温暖化」の話って、「21世紀のグレートゲーム」って感じがする。

19世紀から20世紀の初頭頃まで、ロシアとイギリスが中央アジアで資源争奪戦を繰り広げていて、それを「グレートゲーム」というのだが、今はアクターが世界中に拡散していて、その実体は政府というエージェントを使っている国際金融資本ってところだろう。
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by zarathustra1883 | 2008-07-28 02:14 | 経済・財政

実のある財源論争を望む

自公が合同ブロック大会=小沢氏の地元に乗り込む-盛岡

7月13日18時5分配信 時事通信

 自民、公明両党は13日午後、東北ブロック大会を盛岡市で開いた。両党がこうした集会を共催するのは初めて。民主党の小沢一郎代表の地元・岩手県で与党の結束をアピールする狙いがある。
 自民党東北ブロック両院議員会長の加藤紘一元幹事長はあいさつで「絵空事で財源の根拠のない政策を振り回す民主党が国民に受けるとは思えない。そんな党に政権を任せたら日本の政治も危機になる」と強調した。
 この後の討論会で、大島理森自民党国対委員長は「(政局を)混乱させることを考え、国民の生活は眼中にない」と民主党を批判。漆原良夫公明党国対委員長も「民主党は財源根拠のないばらまき政策をいっぱい出している」と指摘した。
 主催者発表では、大会には両党の国会議員、地方議員ら約1600人が参加した。 

最終更新:7月13日18時6分
時事通信


民主党の政策には財源的な根拠がないバラマキだというのは、自民党の議員の見解としてかなり共通している。私もかなり同意していたりする。

ただ、有権者たち自身の考えがそもそも財源的な根拠なんて構ってないわけで、その意味では民主党的な「無駄をなくして財源を捻出する」というバカっぽい発想はそれなりにウケる要素がある。

自民党が民主党に勝ちたいなら、そこのところの欺瞞を暴きださなければならないが、この「無駄遣い」論はネオリベの論理だから、実はどこまでもいい続けることができる上に、完全(充分)な検証や反証が不可能な代物である。カール・ポパーの基準を当てはめれば非科学的な主張だと判定されるだろう。

なお、私が「無駄をなくして財源を捻出する」という発想をバカっぽいと書いているのは、必要なことをすべて行うために、現在の歳入水準(40兆円台後半から50兆円程度)で足りるわけがないと考えるからである。つまり、バカっぽいと言われないためには、「無駄をなくせ」派は、これで十分だと言えなければならないのである。より具体的に言うと、必要な歳出を積み上げて自力で計算してみれば「無駄をなくせ」派がいかにリアリティのないことを言っているのか分かるだろう、ということである。

無駄をなくした後に増税だという議論もあるが、そんな議論はごまかしにすぎない。そうした議論をする人は具体的にどの財源をどのように捻出するのかを提示できないことがその根拠である。とにかく自分にとっての「負担」を先送りしたいという我意だけが先行した議論であり、本来ならば公論になりえないものに過ぎない。このように、「無駄をなくせ」論のほとんどすべては単なる感情論にすぎず、政策論としては稚拙極まりないとしか言いようがないのである。もう少し冷静に「歳出の無駄」を考えているならば、歳出を民主的にコントロールするにはどうすればいいか、ということがもっと議論されているはずだが、そうした気配は感じられないことからも、以上のように言うことができるだろう。

とはいえ、自民党も消費税増税派と上げ潮派くらいしかないようだから、碌な議論ができる状態ではない。民主党も駄目だが自民党も駄目なわけで、二大政党制で両方が駄目であるという最悪の状態である。
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by zarathustra1883 | 2008-07-13 23:00 | 経済・財政

橋下痴事の財政私物化?

橋下知事、四面楚歌「夜に勝負かける」 御堂筋イルミ
2008年05月08日23時06分

 「財政再建の中、反対せざるを得ない」――。大阪府の橋下徹知事が意欲を示す冬の御堂筋イルミネーション構想に対し、府幹部から8日、公然と反対の声が上がった。

 橋下知事と部長の意見交換会は報道陣に公開される中、始まった。冒頭、知事直轄の重要政策プロジェクトチームが、御堂筋約3キロのイチョウ並木を12月中旬から約3カ月間イルミネーションで飾る構想を披露し、事業規模は10億~20億円と説明した。

 「府民に痛みを求め、職員にも厳しい削減を求める中、反対せざるを得ない」。口火を切ったのは中西正人・総務部長。歳出削減案では最大400億円の人件費カットを迫られている。笹井康典・健康福祉部長も「財政再建の議論をやっている途上で、まだ道筋も見えていない」。

 南部英幸・生活文化部長が「イルミネーションは非常に効果がある」と賛成したものの、大半は反対意見。「福祉で削った金を持っていくようにしか見えない」(上田博・会計管理者)などと厳しい声が相次いだ。

 橋下知事は「一番僕が悩んでいるところ」と財政再建路線との整合性に苦しむ胸の内を明かしながら、「夜に勝負をかけると大阪の街が浮かび上がる。世界に類のない光の街をつくっていきたい」と重ねて意欲を示した。


使いどころを間違っていると言わざるを得ないだろうな。さすが橋下事。

行政がなすべきこととは、まず第一に最低生活保障である。その上で経済政策ないし産業政策によって人々の生活基盤を間接的に支援することだろう。さらにその次にこうしたイベントなどの「地域おこし」的なものが組み込まれる余地が生じる。

逆に言えば、イベントはボランティアやNPOや民間企業に任せてもよい度合いが高いわけだ。

例えば、ボランティアが最低生活保障を支えて行政はそれを無視するなんてのは到底ありえないし、ボランティアが経済政策の実行部隊になることもまずないだろう。特にインフラ整備を実現することはできない。それと比べればイルミネーションなんて許可さえあればボランティアだってできる。私の住む町ではイルミネーション的なものとして、ろうそくの火を使ったイベントがあるが、あれだってろうそくを買ってるのは普通の市民なわけだ。行政も多少はバックアップしてるんだろうが、少なくとも前面には出ていない(はず)。

街のイメージを作るようなイベントこそ住民参加型でやるべきであり、それらを幾つか積み重ねていく中からいいものが出てくるもんじゃないのか?10億も20億も予算を出すなんてことは、財政赤字が大問題になっているときにやるものではないだろう。

もっとも、一般的にイベントへの財政からの支出は絶対にだめだということはない。いくつものイベントが財政によって支えられているのは事実である。しかし、重要度の高いものを削って重要度の低いものを増やすというのは本末転倒だ。行政とは何か、何をなすべきものなのか、こうした根本的な問題が整理されていないから、このくらいの問題で悩んでいる。橋下の場合、これまでの経緯も踏まえると、そうであるとしか見えない。

その上、「夜に勝負をかけると大阪の街が浮かび上がる。世界に類のない光の街をつくっていきたい」などと言っているが、具体的な効果や見通しがないことが透けて見えるようだ。何となく自分が好きだからやりたい、というだけにしか見えない。そういうのは財政の私物化と言ってもいいだろう。どこかの都痴事(都知事)と一緒だな。
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by zarathustra1883 | 2008-05-09 00:25 | 経済・財政

自覚がない床屋政談について

4月20日にメインブログにトラックバックがあった。見てみたらまたもや酷い内容だった。

アホくさくて論争する気にはなれない(そもそもブログの更新自体やってる暇がない)が、こちらにメモだけしておくことにする。

> 地方の財政が切迫しているのは理解するが、それにより税負担を強いるのは筋が違う。地方は産業を興し、それで利益を得るのが筋だ。

経済と財政を混同している見本のような言説だな。

> 地方はとかく道路を作れとか、箱物を作れと税金を無駄に使い続けてきた諸悪の根源だ。そして今回はガソリンである。

ほう。地方が諸悪の根源ねぇ。

道路を作れとか箱物を作れといったのは「地方」ではないんだがね。そうした要望は地方にも昔からあったが、どの時代も均質に作られたわけではなかった。それなのに90年代に急激に増えたのは、中央政府の意向によって作られたからだ。上の意見は、調べもしないでいい加減なことを言っている見本である。

初期には補助金で自治体を誘導し(なお、この誘導に自治体が「自由意思」で参加したとは言えない。「歳入の自治」が保障されていないからである。)、それを続けた結果(90年代後半以降)、債務が膨らんで自治体がそれに答えられなくなったら交付税措置によってさらに誘導して行われたのが、財政赤字を膨大に膨らませた構造である。

この程度のことは、少し調べればすぐにわかるのに、そんなことも知らんのか?


そうした「(現場を知らない)中央の決定が先にありき」の公共事業だったことが、有効な施設が少なくなった大きな原因だと批判するならまだしも、そうした仕組みすらわかっていないなら、わかったような口は利かないのが賢明というものだ。

> 産業を興さず、税にのみ頼るような地方など切り捨ててしまえばいいのである。税金の撤廃にはそれが必要だ。

観念論だな。同じ論理を転用しよう。

「産業に加担せず、税にのみ頼るような老人・障害者など切り捨ててしまえばいいのである。」

これを是認するのかどうか?一般には是認されないと思うがね。このブログの左側に置いてあるリストの『私的所有論』のロジックが私の依拠する論理であり、当然、これを是認しない立場だ。説明は一言では不可能なので省く。

また、「税金の撤廃」が必要だということ自体も意味不明である。例えば、所得再配分が不要だというのなら、経済格差も無際限に開いてよいということになる。他のエントリーもちょっと見てみた限りでは、この人は、税は給付に変換されるということを知らないらしい。


> 地方での生活が苦しければ中央に出てくればいい。

どうやら、当該ブログの主は、個人の価値観や生活の問題と政策との区別もついていないらしい。

それは措くとしても、去年のNHKの番組で八代尚宏がこれと同じことを言っていた。それに対して民間人に反論されてコテンパンにのされていた。民間人たちの主張はこうだった。「どうして中央に出なければいけないのか?」と。これに対して説得力のある説明をすることは難しいだろう。(上記の意見自体が、あまりにも一面的なものの見方にすぎないから、この程度の切り替えしでも十分な説明は不可能になるのである。)

(さらに言えば、これが簡単にできることだとした場合、東京は人口でパンクし、スラムができ、失業者が蔓延る街になるだろう。東京に行っても、それが大量現象として起こるならば、日本国内に存在しうる仕事の量や内容は基本的には変わらないのだから、失業率は同じくらいになる。居住地が小さくなると、その分だけ運送業や建設業や小売業の仕事が減るから、むしろ失業率は高まるだろう。そんなことも想像できないのは、かなりアホなんじゃないだろうか。)

それとは別の切り口だが、逆にこいつには、地方で産業を興せとも言っていることと合わせて、次のように言うべきだろう。

オマエが地方に出てきて事業を起こして成功してみろよ。

まず、転居だが、例えば、20歳そこそこの若造が東京に出ることは元手となる資金さえあれば簡単である。(しかし、20代だと元手となる生活資金が十分あること自体が難しい。)それに対して、仮に既に家庭を持ち、家や土地も持っている場合、その難易度がどれほど上がるか想像できないのだろうか?

その上、地方であれ東京であれ、見知らぬ土地で知己によるネットワークがない中で成功を収めることがどれほど難易度が高いか想像できないのだろうか?一般的には不利な状況に陥ることが容易に想像できる。

さらに言えば、仮にこの人を含めて、幾つかの事業が成功したとしても、それが他の人々の事業でも起こり、「成功」が大量現象にならないならば、政策としては失敗である。

政策のイロハもわからない連中が政治を語る。床屋政談やそれ以下のレベルのものが公の目に触れるようになる。床屋政談や居酒屋政談なら、お互い話半分というところもあると思うが、ウェブ上では本人はレベルについての自覚を欠いたまま、大真面目に述べているようだからこまったものだ。

床屋政談が悪いのではない。床屋政談レベルだという自覚がないことが悪いのである。それは低レベルな議論(現実への適合性が低い議論)を大真面目に実現すべきだという意見になるからである。
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by zarathustra1883 | 2008-04-21 00:13 | 経済・財政

メインブログのコメント欄に擬似的に答えてみた

以下のエントリーについたコメントへの擬似的回答。
http://moon.ap.teacup.com/zarathustra/408.html

コメンテーターと議論するつもりはないが、とりあえず答えるとしたら以下のような感じか。

(なお、私は「公務員バッシング」ネタを最近繰り返しているが、意外と需要があるようだ。持続的にアクセスがある。)

――――擬似回答開始。

まず、メインブログの本文で述べたとおり、「批判するなら制度を理解してから批判すべきだ。」と繰り返しておく。

> 現在の日本は公務員の給料が高すぎるし、無駄な公務員が多い、首にするべきだ。

以下のエントリーの後半を参照。 
http://chakchak.exblog.jp/8417386/

中央政府で言えば、国家公務員の人件費は5兆円台だ。20年分の総額でも100兆円にしかならない。(つまり、20年間国家公務員が存在しないか、タダ働きしたとしても100兆円しか節約できない、ということ。)それに対して現在の中央政府の長期債務残高は600兆円ほど。だから、仮に20%人件費をカットし続けても20兆円ほどしか減らないことになる。したがって、人件費というのは全くというほど財政悪化の理由の説明になってない。

私としては、何でこんな初歩的なことが分からん人ばかりなのか不思議なくらいだ。財政問題と絡めて公務員バッシングやをする人には「こんなワンパターンな議論をいつまで続けるつもりなのか?」と聞きたいものだ。(「無駄遣い論」もこれとほぼ同じようなものだ。問題はそんな表面的なところにあるのではない。もっと根が深い。だから制度を理解する必要があるのだ。


> GDPの一割を超える債権を発行したら本来国は破綻してもおかしくないと思う。

日本の長期債務はほとんどが内国債であること、また、「家計の借金」や「企業の借金」と「財政の借金」の違いも理解すべきだ。

この辺に関しては基礎から勉強してくれというほかない。あまりにも初歩的すぎる。


> 増税ばかりして、今使っている予算を減らし、節約しないのか?

まず、歳出から言えば、障害者自立支援法とかを思い浮かべれば、「節約」を続けていることがわかるだろう。生活保護の「水際作戦」だって「節約」だ。公共事業も既に国債増発前の水準に戻っている。インフラの量が増えたということは維持費は嵩むのだから、歳出が同じであるということは、新規建設は少ないということだろう。

また、過去20年間の税制を振り返ってみれば、「増税ばかり」なんてことは言えないだろう。

2003年に相続税の最高税率を70%から50%に引き下げたのは増税か?

また、90年代にどれだけ特別減税を続けてきたのか覚えていないのだろうか?

それに、所得税の分離課税が随分細かく分かれたと思うが、それは私の気のせいなのか?(特別控除の適用があまりなくなったことを除けば、このあたりの制度変更の基本は減税である。)

もっと根本的なところでは、所得税や法人税の税率構造の推移を見てもそんなことが(増税ばかりだと)言えるだろうか?税率ブラケットがどのような構造になっていたか思い出してみれば分かるだろう。もともと知らないなら話にならんし、そんな状態なら、そもそも最初の「増税ばかり」という発言自体が無効だろう。こんなものは税を語る上では基礎の基礎にすぎない。

確実に「上がった」のは消費税くらいだろう。(もちろん、細かく見ればまだまだある。)しかも消費税の増税分は法人税の減税分で相殺されている。それに、上がったのはだいたい20年前と10年前だ。最近の話じゃない。だから、過去20年間で見れば、それ以外の税は減税のほうが多かったと言ってよい。

むしろ、減税をつづけてきたことが財政赤字の大きな要因であり、それを決めた責任者は有権者であることを省みるべきだろう。本当に無責任なのは、官僚や政治家よりも世論(国民)だということが、この問題(税・財政)については言える。



> 公務員を減らせ!もしくは減給しろ!これで完璧に暫定税率は廃止できる

プライマリーバランスはどうなる?これが赤なら問題解決にならない。

また、「減った」公務員はどこに行くのか?「民間」の労働市場にそんなに需要があるか?

公務員を減給して暫定税率を廃止するのは、他人への負担の押し付けでしかない。なお、2.6兆円減給するには国家公務員の給与削減で対応する場合、給与を半分にしないと足りない。どうやったらそんなことが可能なのか?この人は政策立案の当事者として政策を考えていないんじゃないのか?まったく他人事だ。こういうのを無責任という。


もう一度繰り返す。税や財政に関する問題を「批判するなら制度を理解してから批判すべきだ。」

――――擬似回答終了。
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by zarathustra1883 | 2008-04-18 02:27 | 経済・財政