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ブログ「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。気になるニュースや雑感・着想のメモ等(エントリーへのリンク付きTBかエキサイトブログのみTB可です。)
by zarathustra1883
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自覚がない床屋政談について

4月20日にメインブログにトラックバックがあった。見てみたらまたもや酷い内容だった。

アホくさくて論争する気にはなれない(そもそもブログの更新自体やってる暇がない)が、こちらにメモだけしておくことにする。

> 地方の財政が切迫しているのは理解するが、それにより税負担を強いるのは筋が違う。地方は産業を興し、それで利益を得るのが筋だ。

経済と財政を混同している見本のような言説だな。

> 地方はとかく道路を作れとか、箱物を作れと税金を無駄に使い続けてきた諸悪の根源だ。そして今回はガソリンである。

ほう。地方が諸悪の根源ねぇ。

道路を作れとか箱物を作れといったのは「地方」ではないんだがね。そうした要望は地方にも昔からあったが、どの時代も均質に作られたわけではなかった。それなのに90年代に急激に増えたのは、中央政府の意向によって作られたからだ。上の意見は、調べもしないでいい加減なことを言っている見本である。

初期には補助金で自治体を誘導し(なお、この誘導に自治体が「自由意思」で参加したとは言えない。「歳入の自治」が保障されていないからである。)、それを続けた結果(90年代後半以降)、債務が膨らんで自治体がそれに答えられなくなったら交付税措置によってさらに誘導して行われたのが、財政赤字を膨大に膨らませた構造である。

この程度のことは、少し調べればすぐにわかるのに、そんなことも知らんのか?


そうした「(現場を知らない)中央の決定が先にありき」の公共事業だったことが、有効な施設が少なくなった大きな原因だと批判するならまだしも、そうした仕組みすらわかっていないなら、わかったような口は利かないのが賢明というものだ。

> 産業を興さず、税にのみ頼るような地方など切り捨ててしまえばいいのである。税金の撤廃にはそれが必要だ。

観念論だな。同じ論理を転用しよう。

「産業に加担せず、税にのみ頼るような老人・障害者など切り捨ててしまえばいいのである。」

これを是認するのかどうか?一般には是認されないと思うがね。このブログの左側に置いてあるリストの『私的所有論』のロジックが私の依拠する論理であり、当然、これを是認しない立場だ。説明は一言では不可能なので省く。

また、「税金の撤廃」が必要だということ自体も意味不明である。例えば、所得再配分が不要だというのなら、経済格差も無際限に開いてよいということになる。他のエントリーもちょっと見てみた限りでは、この人は、税は給付に変換されるということを知らないらしい。


> 地方での生活が苦しければ中央に出てくればいい。

どうやら、当該ブログの主は、個人の価値観や生活の問題と政策との区別もついていないらしい。

それは措くとしても、去年のNHKの番組で八代尚宏がこれと同じことを言っていた。それに対して民間人に反論されてコテンパンにのされていた。民間人たちの主張はこうだった。「どうして中央に出なければいけないのか?」と。これに対して説得力のある説明をすることは難しいだろう。(上記の意見自体が、あまりにも一面的なものの見方にすぎないから、この程度の切り替えしでも十分な説明は不可能になるのである。)

(さらに言えば、これが簡単にできることだとした場合、東京は人口でパンクし、スラムができ、失業者が蔓延る街になるだろう。東京に行っても、それが大量現象として起こるならば、日本国内に存在しうる仕事の量や内容は基本的には変わらないのだから、失業率は同じくらいになる。居住地が小さくなると、その分だけ運送業や建設業や小売業の仕事が減るから、むしろ失業率は高まるだろう。そんなことも想像できないのは、かなりアホなんじゃないだろうか。)

それとは別の切り口だが、逆にこいつには、地方で産業を興せとも言っていることと合わせて、次のように言うべきだろう。

オマエが地方に出てきて事業を起こして成功してみろよ。

まず、転居だが、例えば、20歳そこそこの若造が東京に出ることは元手となる資金さえあれば簡単である。(しかし、20代だと元手となる生活資金が十分あること自体が難しい。)それに対して、仮に既に家庭を持ち、家や土地も持っている場合、その難易度がどれほど上がるか想像できないのだろうか?

その上、地方であれ東京であれ、見知らぬ土地で知己によるネットワークがない中で成功を収めることがどれほど難易度が高いか想像できないのだろうか?一般的には不利な状況に陥ることが容易に想像できる。

さらに言えば、仮にこの人を含めて、幾つかの事業が成功したとしても、それが他の人々の事業でも起こり、「成功」が大量現象にならないならば、政策としては失敗である。

政策のイロハもわからない連中が政治を語る。床屋政談やそれ以下のレベルのものが公の目に触れるようになる。床屋政談や居酒屋政談なら、お互い話半分というところもあると思うが、ウェブ上では本人はレベルについての自覚を欠いたまま、大真面目に述べているようだからこまったものだ。

床屋政談が悪いのではない。床屋政談レベルだという自覚がないことが悪いのである。それは低レベルな議論(現実への適合性が低い議論)を大真面目に実現すべきだという意見になるからである。
by zarathustra1883 | 2008-04-21 00:13 | 経済・財政
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