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ブログ「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。気になるニュースや雑感・着想のメモ等(エントリーへのリンク付きTBかエキサイトブログのみTB可です。)
by zarathustra1883
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チベット問題への諸政府の対応と雑感

チベットの騒乱、中国経済の影響力を前に西側諸国は沈黙か
2008年 03月 20日 16:31

[ロンドン 19日 ロイター] 中国チベット自治区で起きた騒乱では、西側諸国が中国政府の対応を声高に非難する姿勢はさほど見られず、中国経済の影響力の大きさが暗に示される形になった。

 昨年ミャンマーで起きたデモ弾圧に対する反応とは対照的に、チベット騒乱での中国政府の動きに対しては、西側諸国からの批判の声が非常に弱いと専門家らは指摘している。

 米国の保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のジョン・タシク氏は「ワシントンでは中国を例外扱いにする傾向がある」と指摘。中国の専門家である同氏は「ビルマ(ミャンマー)やスーダン、ウズベキスタンがやれば強く非難することを、中国の場合は知らないふりをしたいのだ」と述べた。

 チベット自治区ラサでのデモ参加者と中国当局との衝突による死者数は、中国当局が13人、チベット亡命政府が約100人と発表している。米国や西側諸国は同騒乱で自制を求めたものの、さらに踏み込んだ強い懸念は表明していない。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの中国の専門家は「中国をめぐる人権侵害を声高に言いたくない雰囲気が各国政府にある」と指摘する。

 2003年から年率10%以上の成長が続く中国は、今や世界4位の経済大国。向こう数十年の間には、米国を抜いて世界最大の経済大国になる可能性もある。

 また、中国は原油や金属など資源確保の動きを世界中で進めており、今年2月に国営の中国アルミが米アルコア(AA.N: 株価, 企業情報, レポート)と共同で、英豪系の資源大手リオ・ティント(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)の株式取得に動いたことも記憶に新しい。

<タイミングと経済的相互依存>

 チベット情勢に関する西側諸国の関心は過去にも高かったとは言えないが、米中間の経済的相互依存が強まっている現在では、これまで以上に西側の「不干渉」姿勢が浮き彫りになっている。

 チベットで今回の騒乱が起きたのは、米政府が信用危機や米ドル下落という問題に直面している微妙な時期。約1兆5000億ドルの外貨準備を保有し、その大部分を米国債で運用している中国が米国債の購入をストップすれば、米ドルは一段と下がる可能性がある。

 昨年12月には、中国の政府系投資ファンドである中国投資公司が、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)などの評価損で多額の損失を出した米モルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)に対し、総額50億ドルの出資を行っている。

 一方、中国も米国や西側諸国への製品輸出を背景に大幅な貿易黒字を維持しており、その点でも両者は経済的に相互依存している。

 欧州連合(EU)では、ブラウン英首相が1月に中国を訪問した際、中国の政府系ファンドからの投資受け入れに前向きな姿勢を示したほか、サルコジ仏大統領の昨年11月の訪中時には、フランス企業が総額300億ドルの契約をまとめている。

 (ロイター日本語ニュース 原文:Adrian Croft、翻訳:宮井伸明)


レアルポリティークの世界では、このように中国への非難は控えめにならざるをえないだろう。道徳的な善悪は別として。(この問題については、右も左も「道徳で政治を語りすぎ」だと思っている。政治についての発言と言うより市民運動としての発言ならそれでも良いのだが、政治ブログの発言の多くは、草の根の運動というにしては左右共にイデオロギー色が強すぎる。ちなみに、左は共産主義ではなく「人権」という名のイデオロギーである。)

ただ、私はチベットの人々に諸手をあげて支持できない点がある。(一応、ウェブ上で署名はした、つまり、基本的にはチベットの人々を支持・支援したいのだが。)それは、最初に暴力を使ったのはチベットの人々ではないのか?という疑いが拭えないからである。(そうではないのかもしれないが、十分に実態が分からない。)

確かに50年前に中国はチベットを侵略したのは事実だろうが、それは昔のことであり、今回の件について、暴力による抵抗をする前に他に手段はなかったのか?少なくともチベットの人々はパレスチナの人々とは異なった境遇にあるはずであり、合法的ないし、もう少し道義に適ったやり方をとれないことはないのではないか?という思いがあるからである。

オリンピックという世界的な注目が集まる時だからこそ、抵抗を示すことが世界からの関心を集める効果があるのは確かであり、だからこそ今回の事件も起こったのだろうが、もう少しスマートなやり方があるようにも思われてならないのである。中国の侵略は中東ほど勢力が錯綜していないのだから不完全ではあっても解決可能だと思うのだが、安易に暴力に訴える勢力が多いとなれば、それも困難になりそうだ。

いずれにせよ、チベットの今回の問題を語るには情報が少なすぎるというのが最大のネックである。事実を知らないのに「とにかく人権侵害を非難すべし」という気にはなれないのだ。


以下、余談。

基本的に今チベットで起こっていることは、ウォーラーステインの世界システム論で言うインコーポレートであると見ることができる。だとすれば、そのうち取り込みが完成すると見ることができる。確かに、「搾取」される側にチベットの人々は立つだろうが、資本主義「世界経済」という世界システムの中での取り込みではなく、むしろ「世界帝国」的なシステム(単一の政治的統治機構)の中での取り込みだから、再配分もそのうち不十分ながら行なわれるはずである。これは19世紀末頃までにインコーポレートが完了した後、20世紀の中葉に「危険な階級」に対する懐柔策としての「福祉国家」が出現したことと同じとはいえないまでも近い現象である。
by zarathustra1883 | 2008-03-24 00:51 | 中国
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