ブログ「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。気になるニュースや雑感・着想のメモ等(エントリーへのリンク付きTBかエキサイトブログのみTB可です。)
by zarathustra1883
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
カテゴリ
全体
政治ニュース
経済・財政
軍事・防衛
今日のひとこと
日記
思想
歴史・歴史学
世界情勢・外交
イラン
朝鮮半島
中国
社会
福祉
未分類
以前の記事
2010年 06月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
最新のトラックバック
貧富の差が拡大、ドイツ国..
from 専門家や海外ジャーナリストの..
私のお金、誰の人件費??
from muse-9
チベット自治区 ダライラ..
from みつけたネタ
海上自衛隊の給油量、80..
from ☆今日の時事問題☆彡時事問題..
お友達内閣
from アドベンチャーゲーム
安倍総理の通信簿 その2
from 平太郎独白録 親愛なるアッテ..
リンク
フォロー中のブログ
検索
タグ
(48)
(40)
(39)
(31)
(29)
(26)
(25)
(23)
(22)
(21)
(19)
(19)
(19)
(18)
(18)
(14)
(11)
(9)
(8)
(7)
ライフログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


自衛官のパワハラ事件と戦争責任関連問題のこと(メモ)

先日、「北海道の航空自衛隊通信基地の女性自衛官(21歳)が、上司に強姦まがいの行為をされ、しかも被害者である彼女にいじめ・退職強要などのパワーハラスメントが半年以上にわたって行なわれた」として国家賠償請求訴訟が提起された。

この自衛隊内部の女性暴行(セクハラ+パワハラ)事件は、近年話題になっている歴史や戦争責任に関する諸問題にまつわる言説の性質を照らし出す事件であると私には思われる。

まず、強姦まがいの行為があったとされているが、このことは「慰安婦」を連想させるのだが、ここからは次の点を述べておきたい。

平時においてさえ組織内で強姦が行われるような組織が、遠方の占領地において、より弱い立場の人間たちに囲まれている状況で、現地の女性らを相手に同じようなことをする輩が現れないと信じるのは理に適っていない、というべきである。そして、「慰安所」はそうした事件が起きないようにするために用意されたと言われている。

**********

次に、女性自衛官が相談した上司の対応が、まさに「慰安婦問題」における安倍ら(修正主義者)の態度と共通しているところがある。

主たる共通点は、認めたくない事実ないし不都合な事実があると権力を使って隠蔽しようとすることである。そうすることで、組織の内部であれ外部であれ、個人の人権よりも「組織(自衛隊/政府)」の保身を優先しようとするわけだ。

軍隊(実力組織)は、重大な危機のときには、「軍隊」自身を守ることを最優先する。それ以外のときには、基本的に「権力者」に奉仕する。決して「国民」を守ることは第一義になることはない。「軍隊は国民を守るためのものだ」という言説は所詮、建前に過ぎない。すべての有権者はこのことを、冷静に見据えなければならない。

ちなみに、憲法九条という「偉大なる建前」を「時代に合わない」とか「実情に合わない」という屁理屈によって壊そうとする人間が――この代表は安倍晋三だが――、この建前を認めようとしないとすれば、それは最高に褒めても「ご都合主義」でしかなく、「詐欺師」や「嘘つき」というべきだろう。ただ、「建前」はそれ自体では「絶対的悪」ではない。しかし、リアルな世界の動きと建前とは、常に緊張関係を持つものであることは認識し、その上でどのようにその緊張関係をどこの点でバランスさせるか、適切にコントロールするか、といったことが問題となる。

また、上述の原則は、沖縄の辺野古に海上自衛隊が派遣されたという現在進行中の事件とも一致するということも銘記すべきだ。

何より、今回の事件は、まさにそうした軍隊に関わる半ば普遍的な構造が、自衛隊という組織にも平時から存在していることを示す事件だと言うことができる。(もう少し正確に言えば、M.Weberが"Kritische Studien auf dem Gebiet der kulturwissenschaftlichen Logik "(文化科学的論理の領域における批判的諸研究)で述べる意味での「認識根拠」である。)


**********

さらに慰安婦問題言説と関連付けて論を進めてみる。

今回の事件では、被害者の上司は、被害者を泣き寝入りさせることで、事件をもみ消そうとしたようである。この場合、果たして自衛官の強姦を組織として放置することを認めた「書類は存在しない」ということが、自衛官の強姦(未遂?)という「行為がなかった」ということの証拠になるかどうか考えてみよう。冷静に考えれば、「慰安婦を強制した証拠がない」ということが(その証拠がないことを認めた場合でも)「慰安婦を強制した事実がない」ということを意味しないことが容易にわかるはずである。

まず、事実を示す証拠というものは、文書の有無と同一ではなく、文書がある場合でさえ文書とその他の証拠との整合性などが問われるのであって、単にそれ自体が事実を証明するのではないからだ。(例えば、『ギルガメシュ叙事詩』という文書があるからといって、それがそのまま単純にギルガメシュという人物(神人)が実在したことの証拠になるわけではないのと同じである。歴史的事実の確定とは、遥かに繊細な作業の後にようやく到達できるものであって、修正主義者のような粗雑な議論で片付くものではない。)

もちろん、あることについて「書かれた文書が存在しない」ということが、「その事実が存在しない」ということを意味するわけでもない。例えば、それはエジプトのピラミッドを建設した設計図が存在しないからといって、「ピラミッドは人間が設計したとは言えない」などと信じる人は、まずいないだろう。

しかし、慰安婦問題では「強制はなかった派」は、こんなことも分からずに「文書としての証拠がない」と言って騒いでいるように見える。もう少しまともな議論もあるのだろうが、ネット上での「修正主義賛同者」の意見や政治家が言っていることの理念型を構成すると、ほぼこれに近い議論になってしまう。こんなヘタレな議論に賛同する者がいることの背景として「そのような結論を欲する心理状態である人間」がそれなりの数存在するらしい、ということは(前から分かっていたとは言え)再確認しておこう。

それから、上と同じ系統の言説だが、「慰安婦の証言は信用できない」ないし「証言は証拠にならない」と言っている人間には、差し当たり、今回の事件で被害者であると主張する女性自衛官が、(恐らくは、勇気を振り絞って)証言することも信じないつもりなのか?と言っておこう。(なお、論理的に言えば、個々の証言を否定するためには、それら個別の証言について、それを否定するだけの根拠をもってしなければ、論証としての体をなさないのであり、その意味で「信用できない論」「証拠にならない論」は一般論としては、そもそも論証として無効なのだが、それでも「バカ派」――ここでは、この語のもともとの範囲をさらに拡張して適用するが――には、その程度のこともわからんようなので、一応言っておく必要はあるのかもしれない。)


*********

ついでに、ほとんど余談だが、「慰安婦はいても、『従軍』慰安婦はいない」というタワゴトもあまり意味がない。例えば、エジプトではピラミッドのことを「ピラミッド」と呼ばず、「アル・アフラームAl-ahram」と呼ぶが、だからといって「あの石造建造物」が存在しないことを意味しないというのに近いと言っておく。つまり、名前が変わったことで実際に起こったことが変わるわけではないのだ。「従軍」という語は、「軍隊に所属または従属して戦地へ行くこと」なのだから、軍隊の一部かどうか、直接的な命令や強制があったかどうかは関係がない。「軍隊とは一切関係がないのに戦地に行く」のでなければ、この語は意味をなすのである。

今回の自衛官の事件でも仮に女性自衛官の言うことを信じるとしても、いくらなんでも自衛隊の上司が命令して強姦を行わせたわけではないだろう(と思う)。しかし、そうであっても、勤務中に呼び出したり上司に相談後には異動を命じられたりなど、自衛隊の組織に属する権力が多様な場面で使われている。その意味で自衛隊という組織がもつ権力が関わっているのだから、自衛隊という組織が完全に無関係で無罪だとは言えない。つまり、原因の一角をなしていると言え、責任を帰すべき理由があると考えられる。彼女の発言を信じるならば。(この部分の論証は、細かい記述は省略しているが「客観的可能性判断」を使っている。)

それと同じように、いわゆる「従軍慰安婦」にも同様に、軍隊組織やその周辺に関連組織に属する権力が作用して強制的な強姦が行われたのであれば、軍に関連しており、軍に責任が帰される理由も存在する。(因果帰属と責任帰属には不連続的なところがあるが、その部分の記述は割愛する。)それを示すために「従軍」という接頭辞があることは妥当であると言える。

歴史を語るならば、それも自分の説が正しいと言い張るのならば、最低限の学問的なリテラシーを身につけてから語ってもらいたいとバカ派の諸君には言いたい。そのリテラシーには技術的なものだけでなく、事実に対する謙虚さという「ものを見る際の姿勢」も含まれると言っておこう。

以上、基本的に女性自衛官の訴えが正しいと前提した上で、いわゆる従軍慰安婦問題と(完全に同じ状況ではないことは承知の上で)重ね合わせて考えてみた。まとまりのない文章になったが、とりあえず、メモしておく。

女性自衛官の訴えが実際には正しかったとしても、今回の賠償請求が通るかどうかは分からないが、この女性の人間としての尊厳を損なわない結果が得られることを望む。


【参考記事】

女性自衛隊員が国を提訴=「セクハラ被害で苦痛」-札幌地裁5月8日18時30分配信 時事通信

 北海道内の航空自衛隊施設に勤務する女性隊員が、同僚の男性隊員からセクハラ行為を受けた上、相談した男性上司からも退職を迫られるなどし精神的苦痛を受けたとして、国を相手に慰謝料など約1100万円を求める訴訟を8日、札幌地裁に起こした。
 訴状によると、女性隊員は航空自衛隊の北部航空警戒管制団第四五警戒群(北海道当別町)に勤務していた昨年9月、夜勤中の男性隊員(32)に呼び出され、ボイラー事務室で体を触られるなどのセクハラ被害を受けた。女性隊員は被害を男性上司に相談したが、外出許可を受けられなくなり、退職願を出すよう迫られた。
 航空自衛隊の警務隊は今年2月末、女性隊員の被害届を正式受理した。 

最終更新:5月8日18時30分


次は北海道新聞より。

わいせつ被害の空自女性隊員 国に1100万円賠償請求 札幌地裁(05/09 00:22)

 同僚男性からわいせつ行為をされ、被害を相談した上司から逆に退職を求める嫌がらせを受けたとして、道内の航空自衛隊の部隊に所属する女性隊員(21)が八日、国を相手取り、約一千百万円の損害賠償を求める訴えを札幌地裁に起こした。原告代理人の弁護士によると、現職自衛隊員が国を訴えるのは異例という。

 訴えによると、この女性は昨年九月、勤務中に泥酔していた同僚男性(32)から基地内で押し倒され、無理やり体を触られるなどした。女性は上司数人に相談したが「退職願に(印鑑を)押せよ」「ここまでこじれたら、自衛隊ではやっていけないんだよ」などと、逆に約半年間にわたって嫌がらせを受け続けた。女性は上司に男性の退職か転勤を求めたが、基地側が適切な措置を取らず、長期にわたり精神的苦痛を受けたとしている。

 女性は「私は加害者や上司を許すことができません。被害者が泣き寝入りする現状があってはならず、現職のまま戦います」と書面でコメントした。代理人の佐藤博文弁護士も「自衛隊には、世間では理解し難いようなハラスメント(嫌がらせ)がある。今回の訴訟は、氷山の一角にすぎない」と強調した。

 これに対し、女性が勤務する基地は、警務隊が今年二月から強制わいせつの疑いで捜査していることを認めたが、退職の強要については「あったかどうかも含め、部内で調査中」と説明。訴状については「正式に受け取っていないので、コメントできない」としている。


【続報を追記】

◆JANJAN「女性自衛官のパワハラ訴訟 職場は替わったが」2007/06/01
http://www.janjan.jp/area/0706/0705310414/1.php
[PR]
by zarathustra1883 | 2007-05-14 01:35 | 政治ニュース
<< またミサイル防衛かよ。 言論弾圧が大好きなのは安倍晋三... >>